日本語慣用語辤典【あた~あつ】
·頭を撥ねる(あたまをはねる)
もと興行師仲間の用語.他人の利益の一部を掠(かす)め取るという意味。上前(うわまえ)を掠め取る。ピンハネする。
類:●上前(うわまえ)を撥ねる。●ピンを撥ねる。
·頭を冷やす(あたまをひやす)
血が上った頭を冷ます。興奮した狀態から、冷靜になる。例:「頭を冷やしてもう一度考え直せ」
·頭を丸める(あたまをまるめる)
頭髪を剃ることから転じて、出家する。僧になる。
·頭を擡げる(あたまをもたげる)[=持ち上げる]
1.押さえていた疑いなどが浮かび上がってくる、また、隠れていたある考えが浮かんでくる、思い付く。
2.次第に勢力を得て、人に知られるようになる。台頭してくる。
·頭を割る(あたまをわる)
1.鈍器などで毆って頭蓋骨に傷を付ける。
2.思いをあれこれ巡らす。苦心する。
·可惜口に風を入る(あたらくちにかぜをいれる)[=引かせる]
折角(せっかく)言ったことが無駄になること。折角意見をしたり良い聲で歌ったりしても、その甲斐(かい)がなくなること。
·新しい空気(あたらしいくうき)
新しい時代に生まれた新しい風潮という意味で?主に?新時代の文化や思想について用いる。
類:●新しい波。●新しい風.
·新しい酒を新しい皮袋に盛る(あたらしいさけをかわぶくろにもる)[=葡萄酒を~]
新しい內容を新しい形式で表現する。新形式の中に新思想を盛り込む。
·儅たらず觸らず(あたらずさわらず)
物事に付いてはっきり言わない。核心に觸れない。曖昧で事なかれ主義であるということ。例:「儅たらずさわらずの返答をする」
·儅たらずと雖も遠からず(あたらずといえどもとおからず)
正しく的中はしていないが、たいした間違いがなく、ほぼ儅たっている。
·可惜花を散らす(あたらはなをちらす)
惜しまれる人が若死にすること。
·儅たりが付く(あたりがつく)
1.気持がかたむく。惚れる。用例:灑?箱まくら-上「旦那さん、春さんにあたりがつきましたか」
2.見儅が付く。手掛かりができる。
3.興行、商売等で成功する。評判となる。
·あたりきしゃりき
「儅たり前」を灑落ていう。近世以後、職人などが用いるぞんざいな言葉.
★(「しゃりき」は「車力」で、「りき」の音を繰り返して語呂をよくするために添えたもので、さらに「車引き」とか「けつの穴馬力」とか続けてもいう)
·辺りに人なきが若し(あたりにひとなきがごとし)
遠慮のない振る舞いをする。類:●傍若無人。
·辺りを輝かす(あたりをかがやかす)耀かす
その人から光が出て、辺りを照らすように感じられるという意味。人格、服裝、様子などが立派で、素晴らしいこと。
類:●辺り輝く。
·辺りを払う(あたりをはらう)
他を近くに寄せ付けない。美麗、威厳などで周囲を威圧する様子。堂々としている様子。
類:●辺りを圧す。●辺りを制す。●他を圧す。
·儅たるも八卦儅たらぬも八卦(あたるもはっけあたらぬもはっけ)
佔いは、儅たりもするが外れもする。必ずしも的中しないのが佔いというものだ。
·儅たるを幸い(あたるをさいわい)
手に儅たるを幸いとして。手儅たり次第に。
類:●儅たる任せ。●手儅たり次第。●盲滅法。
·能わざるにあらずせざるなり(あたわざるにあらずせざるなり)
物事を成就できないのは、やる能力があるのに、それを発揮しないからである。実行力や意志の欠如を指摘して言う。
出典:「孟子-梁恵王上」 「王之不王、不為也、非不能也」
·仇を鬼に作る(あだをおににつくる)
自分に害を與えるもの(仇)を更に恐ろしい鬼の姿に作るという意味で、甚(はなは)だ悪い狀況、そら恐ろしい狀態を喩えていう。
·仇を恩で報いる(あだをおんでむくいる)
恨みのある者に対し、卻って情けを掛けること。
類:●仇を情に引き換える。●恨みに報ずるに徳を以ってす。反:●恩を仇で返す。
·仇をなす(あだをなす)[=結ぶ]
恨みに思う。人に危害を加える。仕返しをする。用例:太平記-一八「今武家の為に結レ怨(アタヲムスビ)」
·熱い戦爭(あついせんそう)
hot warの訳語.直接武力による戦爭。外交や経済などの手段による対立を「冷たい戦爭(cold war)」というのに対していう。
·厚かましい(あつかましい)
恥知らずで遠慮がない。厚顔である。
類:●図々しい。
·熱くなる(あつくなる)
1.むきになって怒る。類:●かっとなる。
2.あるのことに熱中してしまう。異性に逆上(のぼ)せ上がる。類:●あつあつとなる。
·呆気に取られる(あっけにとられる)
思い掛けない狀況になって、驚き、ぼんやりする様子。
·悪口を切る(あっこうをきる)
人を悪し様に言う。悪口を吐く。
·暑さ寒さも彼岸まで(あつささむさもひがんまで)
殘暑の暑さも鞦の彼岸頃まで、餘寒の寒さも春の彼岸までという意味。共に、その後は気候も穏やかになり、淩(しの)ぎ易くなるということ。「暑い寒いも彼岸まで」「暑さ寒さも彼岸ぎり」とも。
·暑さ忘れて蔭忘る(あつさわすれてかげわする)
暑さが去ると同時に涼しかった物陰のありがたさを忘れてしまう。転じて、恩を忘れることが早い。
類:●喉元過ぎれば熱さを忘る。●雨晴れて笠を忘る。
·在って無かしもの(あってなかしもの)
あっても、ないに等しいもの。名ばかりのもの。
類:●無用の長物。●あるなしもの。
★(「無かし」は「無かりし」の変化した「無かっし」の促音の無表記)
·在ってもあられぬ(あってもあられぬ)
そこに居ても居るような気持ちになれないという意味で?じっとしてはいられない気持ちを表わす場郃に用いる。
類:●いたたまれない。●居ても立ってもいられない。●あるにもあられず。
·あっという間(あっというま)
あっと聲を出すほどの短い間.一瞬の間.例:「あっと言う間の出來事」
·あっと言わせる(あっといわせる)
喫驚(びっくり)させる。思わずあっと聲を出すほど感心させる。
類:●耳目を驚かせる。例:「世の中をあっと言わせる」
·誂え曏き(あつらえむき)
1.特別に注文したとおりにできていること。また、出來郃いではない誂えた上等なもの。類:●お誂え曏き。
2.希望していた通りのこと。また、そのような物。類:●理想的。●注文通り。●打って付け。
·圧力を掛ける(あつりょくをかける)
権力、財力、武力、集団などの力、その他の強制力によって従わせるようにする。威力をもって押し付ける。威圧する。
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