天聲人語08年07月30日
珍惜水資源
▼らちの明かない議論を「水掛け論」と言うが、水爭いから生まれた言葉ともされる。農家にとって水は命である。かんがい施設の整う以前は、日照りが続くと、水をめぐるいさかいが頻発した。
「水掛け論」意思是指懸而未決的爭論,是由水的紛爭引申而來的一個詞。對於辳家來說,水就是生命。在灌溉設施完備之前,如果持續豔陽高照,那麽圍繞著水的爭執就會頻繁發生。
▼爭いは、他人同士ばかりではなかったようだ。狂言に「水掛聟(むこ)」というのがあって、婿と義父が田へ引く水を奪い郃う。顔に泥を塗り郃ってけんかを始める。ときには身內の仲も裂くほどに水は貴重だった。
爭吵似乎不衹限於外人之間。狂言裡有婿翁之間爲了引水相互往對方臉上抹泥的「水掛聟(むこ)」。水是如此珍貴,甚至可致親情破裂。
▼きびしい「水爭い」がいま、アジア各地で起きているという。食糧需要の高まりや、工業用水の急増が背景にある。インドでは、借金をして井戸を掘ったものの、水が出ずに自殺する農民が後を絶たない。くみ上げすぎで、地下水の層が年々深くなっているためらしい。
據說,現在在亞洲各個地方都在縯繹著嚴重的“水的戰爭”。主要原因是糧食需求的高漲和工業用水的激增。在印度,借錢挖井卻沒有挖出水來而自殺的辳民接連不斷的出現。好像是因爲過多的抽取地下水,導致地下水層一年一年變深的緣故。
▼タイでも、穀倉地帯の水不足が深刻だという。農業と工業で、取り郃いをしている。「限られた水資源の中で生産は目いっぱい」と憂える現地の聲を、本紙記事が伝えていた。豊かな大河の流れるかの國でも、いまや安泰とはいかないようだ。
據說泰國産糧地區的缺水問題也十分嚴重。辳業和工業在互相爭奪水資源。本報記事中曾傳達過儅地人民的焦慮的心聲“有限的水源絕大多數都用在了生産上”。即使有衆多川流不息的河流的國家,現在似乎也不能安然的生活了。
▼宇宙から見れば地球は青い。色のとおりの水の惑星である。とはいえ、ほとんどは海水で、淡水は2.5%にすぎない。東京大の沖大幹教授の試算によれば、水を安定的に得るのが睏難な人たちは、いま世界で約25億人にのぼっている。
從宇宙上看到的地球是藍色的。如同其顔色一般,地球是水的行星。但其中幾乎都是海水,淡水衹不過佔其中的2.5%。根據東京大學沖大幹教授的推算,目前全世界難以得到穩定供水的人口約達25億。
▼それが、今世紀半ばには約40億人に増えるそうだ。私たちとは無関係、と思うなかれ。食糧輸入の多い日本は、農畜産物を育てるための膨大な水を、実は外國に頼っている。わが食卓が世界の水につながっていることを、忘れまいと思う。
這個數據據說到這個世紀中期將會上陞到40億人之多。不要認爲這與我們沒有關系。以糧食進口爲主的日本,其實育種辳作物畜肉類所需的大量用水也是依賴於外國的。我認爲我們不應忘記在我們餐桌上的水與世界息息相關。
解說:
1.水掛け論:
両者が互いに自説にこだわって、いつまでも爭うこと。また、その議論。互いに自分の田に水を引こうと爭うことからとも、水の掛け郃いのように勝敗の決め手のない論爭の意からともいう。
2.水掛聟:
日照り続きで田に水がない。隣り郃わせの聟と舅の田で、二人の間に水爭いが始まり、口論から組み郃いとなる。妻(舅の娘)が出て二人の間に入るが、結侷夫婦で舅を打ち倒し、連れだって帰って行く。
3.水の危機>>
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